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只今、三部作目を発表中です。 一部は、バンドマンの彼と、彼を想う美沙の切なく哀しい物語。 二部は、美沙の妹、真幸の苦悩と、バンドマンの彼との関わり。 三部は、姉の美沙を探し、自分の存在価値が見つからない妹・真幸が、バンドマンの彼との関わりの中で大人になっていく様子。 ブログランキング参加しています。よかったらクリックしてくださいね^^ 人気blogランキングへ カテゴリ
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いつものように2日経って届いたキス健からのメールには、犬を飼ったことに少し驚いているようなことと、名前を付けることについての快諾が書いてあって、最後に名前が書いてあった。
「ヒューウィー」 名前の由来は、ディズニーのキャラクターのうちの一人らしく、真幸はこの名前がとても気に入った。早速「ヒュー」と呼んでみた。ゲージから出て、小さな一人の探検隊みたいにウロウロしている子犬はそれが自分の名前だとは気が付いてないようだったが、何回も呼んでいるうちに少しは理解でき始めたような気もする。でも、やっぱりまだ自分の名前だとわかっていないのかもしれない。 休みの日に、冬の一日のうち一番暖かそうな時間に散歩に行く。同じように散歩している犬がいると、ヒューウィーは尻尾を振って寄っていく。ワンワンと大きな声で吠えらることもあったが、何回か顔を合わせると、犬なりに知り合いみたいな顔をするように仲良くなった。 真幸も最初のうちは、飼い主さんとも会釈するくらいしかできなかったし、ましてや自分から話しかけることもできなかった。普段ひとりで歩いているよりは、犬を連れていると何か話しかけられそうな気もしたのだが、なかなか勇気が出ない。でも何日も同じ道を散歩しているうちに、気軽に声をかけてくれる顔見知りの人が何人かできた。 少し立ち止まって話す話題は、犬のことだったり自分たちの自己紹介だったりもする。言葉少ない真幸だと会話がなかなか弾まなかったが、それでもここへ越して来た頃、犬でも飼えば知り合いが作れるかな、と思ったことが現実になって、それだけで自分が進歩できたように感じていた。 小さな命ある生き物を育てることの大変さと、部屋の中でコロコロしているヒューウィーを見ながら、真幸はひとつの至福を見つけられた。 その後会社では、先日の出来事について、彼の部署まで直接会いに行って、丁寧にお詫びをした。そして、いつも気にかけてくれていることへのお礼も言えた。その人はやっぱりにこにこしたまま――自分も悪かったんだ、ごめんね。またよかったら食事だけでも行こう――と言ってくれた。 真幸もにこにこして――はい、いつかまた――と答えた。 きっともう二度とこの人と食事をしたり、二人で歩くことはないだろう。たぶん彼もそれを感じていながらの会話だったと思う。やっぱり真幸はいつまでもこだわってしまうだろう自分を知っていたし、もう二度と間違いを犯したくなかった。 いつか、素敵な大人になって、好きな人に「好き」、と言えるようになりたい。 そのために、今は自分をしっかり見つめて、前を向いて歩いていこう。 そしてお姉ちゃんに夢の中で会った時に、笑って「ありがとう」が言える真幸になろう。 それでもまだまだ不安がいっぱいの真幸だったが、キス健がいてくれればきっと大丈夫。そう思っていた。いつかはたったひとりでも歩けないと駄目だけど、一緒に散歩をしてのんびり歩くのに付き合ってくれると言ってくれた、そのキス健の言葉を胸に大事にしまってしばらく甘えてみようと思った。 真幸は自分でこんな気持ちになったのは初めてだった。これが本当の、「人を好きになる気持ち」なんだろう。 お姉ちゃんを想う気持ちともちょっと違う、そんな初めての気持ちに少し戸惑いながら、嬉しい時を過ごし、時には少し哀しくなったりしながらも毎日を有意義に過ごした。 相変わらずキス健とのメールも続いていた。まだまだ素敵な大人になれていないと思う真幸は、キス健に「好き」とは言えないままだったけれど、真幸の受信フォルダにはメールがずいぶんと溜まっていた。真幸は、これからもっとメールが増えていくことを考えるだけでも、とても穏やかな気持ちで満たされて、ふとした瞬間に笑顔がこぼれるくらいに安息していた。 つづく 第一章はここで終わりです。 いつも読んで下さっているみなさん、どうもありがとう。 お話は第二章へと続きます。 少し前向きになった真幸が、このあとどんな大人になるのでしょうか。 一週間後に第二章が始まります。お楽しみに^^
by misa1117es
| 2007-01-12 08:59
| [Ⅲ]第一章・出会い・メール・心
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