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只今、三部作目を発表中です。 一部は、バンドマンの彼と、彼を想う美沙の切なく哀しい物語。 二部は、美沙の妹、真幸の苦悩と、バンドマンの彼との関わり。 三部は、姉の美沙を探し、自分の存在価値が見つからない妹・真幸が、バンドマンの彼との関わりの中で大人になっていく様子。 ブログランキング参加しています。よかったらクリックしてくださいね^^ 人気blogランキングへ カテゴリ
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前回のキス健へのメールを送信したことで、すっかり自己嫌悪に陥ってしまった真幸だったが、何とか自己を律して仕事だけは行っていた。だけど、帰るといつも着けるラジオも聴かず、パソコンを開く事も出来なかった。自分が何を書いて送信したのか、それをもう一度読みたい気持ちもあったが、パソコンの前に来ると恐くて電源を入れられなかった。
パソコンの中にだけ存在するキス健だから、パソコンを開かなければ感じなくなるんじゃないか、そんな気持ちもあった。だけど、いつも2日が経つとやっぱり返信が着てるんじゃないかと気になってしょうがなくなる。それでも何か恐れをなしている部分があって、ひょっとしたら、もう返信してもらえないんじゃないかという、両極端な気持ちがあった。 何度も何度もパソコンの前へ座る。そしてやっと電源を入れる。そしてまたそこから数十分かかかってメールボックスを開いた。 そこには返信されていたキス健からのメールがあった。 そのメールを開く、その決断するまでにかなりの時間がかかり、もう夜はすっかり更けていた。 いつもと違う、短いメール。 困っているのか。本当は怒っているのに、それを見せないように書いているのか。何も解らなかった。ただやっぱり暖かい温度はあった。 だけど、最後の文を読んで真幸は愕然とした。 「とりあえず、好きな人に好きと言ってみてはどうでしょうか。自分が好かれる好かれないは置いといて、それだけでも、気分が変わるかもしれませんよ。」 キス健さんは真幸の気持ちに気付いていないんだろうか、そう真幸は思った。 今まではっきりと書いたことは、勿論ない。だけど、真幸の文面を見れば気が付いているかもしれない、そう思っていた。 もし真幸が、こう言われた通りに、キス健に「好き」といったところでどうなるのか。きっとどうにもならないと解っているから言えないのに。 「好きな人に好きと言ってほしい」切実な真幸の想いに答えてくれるのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。もし気付いていなかったら、きっと迷惑だと思うだろう。そして今度こそ真幸のことを嫌いになって、離れていってしまうだろう。 そう思ったらとても言えないと思った。何も言わないでこのままメールできる方がいいと思った。でも、それではやっぱり繰り返しだ。またこういうことを言って、きっと困らせることになるだろう。 言っても辛い。言わなくても辛い。真幸はどうすればいいのか解らなくなった。 だけど、ひょっとして、キス健さんの言うように、好き、といってもらえなくても、言ってしまうだけで気分が変わるかもしれない、そうも思った。 だけど駄目だ。 きっとキス健さんは気が付いていないのだ。だから、簡単に「好きな人に好きといってみれば」なんて言うんだろう、きっとそうだ。 やっぱり言えない。絶対に言えない。 真幸は返信メールが書けなかった。言う、言わない、どっちの選択も出来ない。 少し近くに感じていたキス健の存在を、今夜ほど遠くに感じたことはなかった。 真幸はその夜、うずくまって眠った。まるであの時の小さくて頼りない真幸になって。
by misa1117es
| 2006-12-21 00:08
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