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只今、三部作目を発表中です。 一部は、バンドマンの彼と、彼を想う美沙の切なく哀しい物語。 二部は、美沙の妹、真幸の苦悩と、バンドマンの彼との関わり。 三部は、姉の美沙を探し、自分の存在価値が見つからない妹・真幸が、バンドマンの彼との関わりの中で大人になっていく様子。 ブログランキング参加しています。よかったらクリックしてくださいね^^ 人気blogランキングへ カテゴリ
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真幸のほうから続けて2度目のメールを送った翌日、キス健からの返信があった。でも、キス健からの返信に嬉しさを感じることができなかった。
返信のない一週間、どうしてか真幸はとても寂しかった。その寂しい気持ちがどこから来ているのか、それがわからない。この気持ちは、姉が生きていても聞けないことのような気がした。 メールを返信してもらえない、そして自分もメールを書くことが出来ない、そんなふうにも思った。どうしていいのかわからないけれど、まず自分が書かないと返事がもらえない。とにかく、このまま自然消滅みたいになるのは嫌だった。 混乱した気持ちがますます真幸の行き場をなくしていた。 今日もいつもと同じ時間にベッドに入る。しかし目を閉じてもなかなか眠れない。真幸は肉体的なものより、精神的に参っていた。 同じパターンの日々を送る、今はとにかくそれを心掛けることが自分には必要だと思っている真幸だった。 ベッドに入っていつもは本を読むのだが、キス健からメールの返信が来ない最近は、本を開いても眺めているようなだけの状態だった。まるで活字が入ってこない。何ページもめくりながらも、話のあらすじが全く理解出来ていない、そんな状態だった。自分で何かをしているのに、それは自分でないような、不思議な感覚だった。だから、今日は本を読むことはなくただベッドの中で必死に目をつぶり続けていたのだった。 それでもどうしても眠ることができない。真幸は気分転換もかねて、お姉ちゃんの残していった私物の整理を始めることにした。 すると、ある本と本の間に一枚のCDがあった。 お姉ちゃんの本の間から見つけた一枚のCD。 それはお姉ちゃんの小説に出てきたキス健のバンドのCDだった。お姉ちゃんはこのCDをどんなに大事にしていたのだろう。まるで新品のようなしわひとつない歌詞カード。それを眺めながら、真幸はお姉ちゃんのこととキス健のことを想った。 お姉ちゃんの話に書いてあったことを思い出しながらCDを聴いてみた。話の中に出てきた、真幸が好きだった[結晶]とはまた違う音楽だった。 少し声の感じが違う気がするけど、歌を歌ってるのは多分キス健だろう。そう思っただけで胸がひどく熱くなる。何故?何故なんだろう…。真幸は悲しくて苦しくていたたまれなくなった。 自分が姉と同じようになっていくんじゃないかという、不安ともなんともわからない自分の気持ちにただ困惑していた。 姉の書いたものが空想ばかりのことなのか、空想ばかりだとしたら、何故自分こんな気持ちになるのか。混乱だけが真幸を支配していた。 こんな気持ちのままではうまくメールを書けないかもしれない。でもとりあえず明日帰宅したらすぐにメールを書こう。そう心に決めると、お姉ちゃんの私物を、キス健のCDをかたずけて、またベッドの中に潜りこんだ。全く眠れそうになかったけれど、それでもベッドの中で目をつぶり続けるしか、今の真幸にできることはなかった。
by misa1117es
| 2006-12-11 21:37
| [Ⅲ]第二章・真幸の日々
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