ありがとう。
ご訪問くださってありがとうございます。
只今、三部作目を発表中です。 一部は、バンドマンの彼と、彼を想う美沙の切なく哀しい物語。 二部は、美沙の妹、真幸の苦悩と、バンドマンの彼との関わり。 三部は、姉の美沙を探し、自分の存在価値が見つからない妹・真幸が、バンドマンの彼との関わりの中で大人になっていく様子。 ブログランキング参加しています。よかったらクリックしてくださいね^^ 人気blogランキングへ カテゴリ
全体 [Ⅰ]ごあいさつ [Ⅰ]第一章・1 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]第二章・1 [Ⅰ]第二章・2 [Ⅰ]第二章・3 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]第二章・4 [Ⅰ]第三章・1 [Ⅰ]彼のエッセイ [Ⅰ]彼のエッセイ [Ⅰ]第三章・2 [Ⅰ]日々 [Ⅰ]日々その後 [Ⅰ]第三章・3 [Ⅰ]彼のエッセイ [Ⅰ]彼のエッセイ [Ⅰ]第三章・4 [Ⅰ]第三章・5 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]彼の作品 [Ⅰ]第三章・6 [Ⅰ]第三章・7 [Ⅰ]第四章・1 [Ⅰ]第四章・2 [Ⅰ]最終話 [Ⅰ]続・小説1 [Ⅰ]続・小説2 [Ⅰ]続・小説3 [Ⅰ]続・小説4 [Ⅰ]あとがき [Ⅰ]関連リンク先 [Ⅱ][その後]ごあいさつ [Ⅱ][その後]第一章・1 [Ⅱ][その後]第一章・2 [Ⅱ][その後]第一章・3 [Ⅱ][その後]第二章・1 [Ⅱ][その後]第二章・2 [Ⅱ][その後]第二章・3 [Ⅱ][その後]第二章・4 [Ⅱ][その後]第二章・5 [Ⅱ][その後]第二章・6 [Ⅱ][その後]第三章・1 [Ⅱ][その後]第三章・2 [Ⅱ][その後]最終話 [Ⅱ][その後]あとがき [Ⅱ][その後]音源リンク先 [Ⅱ]ライブ無料音源配布 [Ⅱ]CD・関連リンク先紹介 [Ⅲ]ごあいさつ [Ⅲ]序章 [Ⅲ]第一章・出会い・メール・心 [Ⅲ]第二章・真幸の日々 [Ⅲ]第三章・展開・メール・心 お知らせ 未発表 ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
「――そうです。はい。高熱と咳が酷くて休むしかないと思います。――はい。もうちょっと看てあげたいので――」 高梨の声で真幸は目覚めた。どうやらベッドで寝ていたらしい。しかし自分で就寝した記憶はない。どうやって自分はベッドで寝たのだろうか。たぶん高梨が何とかしてくれたのだろう。 頭が、腕が、背中が、足が、全身が酷く痛んでいる。暴行によった全身の打撲が原因で、自分の体がやや熱を帯びているのがわかる。真幸は緩慢とした動作の中でようやく上半身を起こした。 「――はい。そうです。すいません。そのようによろしくお願いしたいのですけれど、どうでしょうか――」 高梨は会社と連絡を取っているのだろう。真幸が起きたことに全く気づかないまま会話を続けていた。 朝食の匂いがした。柔らかな風が頬をなでる。床に映ったカーテンの影をじっと見つめていた真幸にはその陰影が水面の揺曳のように映り、そして錯覚した。 水。 湖。 海。 どのイメージなのだろうか。ただ静かにゆらゆらと凪いでいる水面が想起される。 「あ、まーちゃ――」 高梨はそこで言葉を止めた。真幸はボンヤリとした意識のまま高梨をみる。 高梨の表情が一瞬崩れた。しかしその辛そうな表情はすぐに消え、いつもどうりの女性的で魅力的な笑顔に戻る。 「まーちゃん。ご飯作ったけど…、食べれる?」 朝食は本当に良い匂いがしていた。匂いに釣られたのだろうか真幸のお腹がグゥと鳴る。 実際に母に会ったことはないけれど、その匂いに母のような甘い懐かしさと優しさを感じた。 ――美紗おねえちゃん。 真幸は台所に、おねえちゃんの後姿を幻視した。 高梨は真幸の視線に誘導されて台所を見る。 「まーちゃん……」 真幸はおねえちゃんの後姿を幻視し続けていた。 高梨はベッドで起き上がっている真幸に抱きついたが、真幸は小さく悲鳴を上げて高梨を突き放した。 二人の様子に驚いたのか、真幸の足元、掛け布団の上でヒューウィーは小さく丸まり、様子を伺うように上目遣いでこちらを見ていた。 真幸はベッドから降り、楕円形のガラスが天板になっているテーブルの前にちょこんと座った。その動作を見た高梨は、作ってある朝食をテーブルに並べていく。 一汁三菜がちょうど食べ切れそうな適度なボリュームで盛り付けられている。白、緑、オレンジ、紫、茶と彩り鮮やかに並べられた。 朝食を一口含んだ真幸は、口の中にじわじわとした疼痛を感じた。どうにか飲み込むことができたが、これ以上は食べる気になれない。どうにかネギとワカメが具の味噌汁だけを流し込んで、真幸は箸を置く。高梨は何かを話しかけたいのだけれど話しかけられないような素振りを見せて、寂しそうに朝食を食べていた。 漠然とした諦観。躰にこびりついた汚辱。曖昧で不安定な精神。頭の隅で自己を否定している自分と、それを無視する自分。精神状態はめまぐるしく入れ替わり、静かに混ざり合っていく。 真幸は混沌としていた。 キス健さんへ お元気ですか…? 真幸は今、どうすればいいのかわかりません。キス健さんはそんな気持ちになったことがありますか? キス健さんの手はおおきいですか? あたたかいですか? 声はどんなですか? 歌を歌ってるときの声とおんなじですか? 真幸は怖いものがいっぱいありました。少しずつ乗り越えてきたつもりだったんだけど、また元に戻ってしまいそうです。怖いです。 キス健さんは男の人ですか? 男の人ですよね。だって、真幸が好きなキス健さんなんだもの。女の人のはずがありませんよね。 でも、キス健さんが男の人なら、やっぱり真幸は怖いです。怖くないのはおねえちゃんだけです。 でも真幸はキス健さんが好きです。でも、男の人なら怖いです。大好きなのに怖い。 真幸を助けて。姿を見せて手を引っ張ってください。たすけて。 真幸
by misa1117es
| 2008-01-01 02:21
| [Ⅲ]第三章・展開・メール・心
|
ファン申請 |
||