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只今、三部作目を発表中です。 一部は、バンドマンの彼と、彼を想う美沙の切なく哀しい物語。 二部は、美沙の妹、真幸の苦悩と、バンドマンの彼との関わり。 三部は、姉の美沙を探し、自分の存在価値が見つからない妹・真幸が、バンドマンの彼との関わりの中で大人になっていく様子。 ブログランキング参加しています。よかったらクリックしてくださいね^^ 人気blogランキングへ カテゴリ
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新人の二人が入ってきて一週間が過ぎようとしていた。
肌寒い日が続いたせいで開花が遅れていた桜が、このところの春の陽気で満開に近くなり、真幸の会社の窓からもピンクに彩られた桜が見え始めると、お昼は子供連れで散歩がてらお花見をしている家族、夕方になると大きなシートを広げて宴会の用意を始める人たちが見えて、いつのまにか桜の木の間には提灯がつけられていた。 会社の中でも花見でもするか、と話している人たちもいて、その話を聞きながら真幸は、桜って年に一回そんな長い間咲いてる花でもないのに何か特別な感じのする花だなぁ、なんてことを考えていた。あっという間に咲いてあっという間に散っていく。そのわずかな間に、こんなに人間の心躍らせる魅力のある花は他にあるのかな…。そうだ。キス健さんはお花見をしたんだろうか。真幸が見て感じていることを、キス健さんも思うんだろうか、そう思った。 真幸は誰からもお花見に誘われることもなかったが、大勢が苦手だったし誘われなくてよかった、と思っていた。去年は入社したばかりなのに誘われて、どうしても勇気がなくてお断りしたっけ…と思い出していた。去年断ったから、今年は声を掛けられなかったのかもしれないな、まぁ、その方がいいけど、なんて自分勝手なことも考えていた。 4月中ごろまでに、ほとんどの仕事をふたりに教えられた。早川は少しおっちょこちょいなところもあるけど一生懸命覚えてくれたし、高梨は頭の回転が速いのか、次々と仕事をこなせていた。覚えが早いのもあるが、確認だけは忘れないように、それだけ念を押した。 二人が入り、少し仕事にも仲間にも慣れてきた4月下旬に入ろうとする週に、新入社員の歓迎会をすることが決まった。 毎年恒例のことで各部署によって行なわれる。去年は真幸も新入社員として出席し、みんなの前で挨拶をした覚えがある。恥ずかしくて何を話したのかも覚えていないくらいで、今でも思い出すと恥ずかしさが蘇る。 大勢の中が苦手で、人と話すのにも気を遣い、ましてやお酒の席というような集まりは苦手だったが、こういうきちんとした形の会はそう言っていられない。今年は真幸に後輩もできたし、しかも新人二人が出席なのに真幸が欠席では示しがつかない。 部署のドア近くのホワイトボードに歓迎会の日時と場所と出欠欄があり、気が進まないままに、 <出席>のところにしるしをつけた。同じように早川も高梨も丸をつけていた。 歓迎会はその週、4月20日の土曜の予定で、会社近くの料亭の名前が記されていた。 高梨は、社会人になって始めての、しかも自分たちが歓迎される立場にある会の様子がどんなものかを真幸にしきりに聞く。 「最初は堅苦しい感じがしますけど、飲み始めると皆さん楽しそうですよ。段々、よく飲む人と、あまり飲まない人に分かれてしまうようですけど」 「ふぅん。そうなんですか。私は結構飲める方なんですけど、飲んで説教とか始められたらいやだな」 高梨は学生の時の集まりとは違う、自分も含めて社会人ばかりで集うということを楽しみにしている様子だった。 早川も自分のノルマが一段楽したみたいで、会話に参加してきた。早川は出席としつつもあまり気が進まないようで、憂鬱そうな表情をしていた。 「なんだか堅っくるしい席もイヤだし、新人の僕なんかお酌ばかりに回って、それでどんどん飲まされるんだろうなぁ。女の子はいいよな、ちやほやされるだけだから。あぁあ。いきたくなくなってきた。あ、でも、まぁいいや。」 と、愚痴を言っていて、真幸は、男の子はこんなこと考えるのね、と思っていた。
by misa1117es
| 2007-02-04 14:57
| [Ⅲ]第二章・真幸の日々
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